キス、KISS、キス!─異端者と呼ばれた追放死刑の村娘、2つの顔を持つ俺様陛下の溺愛キスで幸せお腹いっぱいです!
王様とお腹いっぱいキッス
カルラ国は盾魔法の守りを得て、カルランへの祈りを捧げながら、慎ましく暮らしを立て直した。
サーシャが王妃様として魔法を使いつつ、魔法に頼り切らない自給自足を目指して、たった500名の国民で寄り添いあい、分け合い、労わり合った。
2年の時がたち。
復活した騎士団宿舎の食堂で、団長とレオナルドが白紙の小さな紙を目の前にしていた。
団長の膝の上にはお座りができるようになったばかりの赤ちゃんが乗っている。
「ついにやるのか、レオ」
「ああ、時は来ただろ」
「あぅー」
「お前も皆に帰って来て欲しいよな?」
「あーぅ」
レオナルドが大きな手で喃語を発する小さな赤ちゃんの頭を撫でて微笑んだ。団長は丸い手首で赤ちゃんを抱き直してテーブルの上に置いた白紙を見つめた。
「やるぞ」
レオナルドは風の便りの魔法を宿した紙の色を、青色に変えた。
もし、何か奇跡が起こって、国を離れた国民たちに王様が帰って来て欲しいと願ったら、この紙は青くなると国民に伝えていた。
「みんな、帰ってきてくれるといいけどな」
「帰って来るに決まってる。祖国ってのはそう簡単に捨てられるもんじゃねぇ」
青い紙を手の平に乗せて、寂しそうにつぶやいたレオナルドの肩を団長の腕が抱いた。レオナルドも素直に団長の肩に手を回して慰め合う。
この2年、あらゆるところで国民たちは肩を抱き合い、頭を撫で合い、支え合ってきた。
辛い顔をした人の頭は撫でてあげて。
寂しい顔をした人の肩を抱いてあげて。
隣人を慈しみ合い、大切に。
慈しみに満ちた触れあいはカルラ国の新しい文化へと昇華していくようだった。カルラ国はますます愛があふれる優しい国へ進化していく。
レオナルドが青い紙を見つめていると、食堂の扉を勢いよく開けてルテが入ってきた。団長の子どもを産んでもまるで変わらない美女体型を維持したまま、口元のえっちなホクロが今日も団長を魅了する。
「レオ、来て!大変なの!サーシャが!」