キス、KISS、キス!─異端者と呼ばれた追放死刑の村娘、2つの顔を持つ俺様陛下の溺愛キスで幸せお腹いっぱいです!
なんて破廉恥な命名だと思いつつ、薄紅色に頬を染めたサーシャは唇を押さえてすぐにコクコク何度も頷いた。
「それは食べたいです!」
「だろ?」
婚約者でもない殿方とのキスは、嫁入り前の娘としてどうかとは思う。
だが、レオナルドの「味」には抗えない魅力がある。
無味で生きてきたサーシャがこんなご馳走をちらつかされて食いつかないわけはない。味は、サーシャが渇望し続けてきたものだ。
レオナルドの甘い言葉には騙されないが、彼の味は堪能したい。
(レオさんは、ただのお食事!!)
サーシャはあっさりレオナルドとの毎食後のお食事キッスを契約した。つもりだった。だが、サーシャが知らないうちに、ここから大きな勘違いが始まっていたのだ。