キス、KISS、キス!─異端者と呼ばれた追放死刑の村娘、2つの顔を持つ俺様陛下の溺愛キスで幸せお腹いっぱいです!

2つの顔を持つ副団長


すっかり騎士団に馴染んだサーシャは、くちばしマスクをつけて空中に浮いていた。ルテから騎士団みんなとお揃いの黒ローブを借りて、くちばしマスク装着の鳥人間状態でふわふわ浮いているのだ。


これはもはやもう鳥に進化したと言って過言ではない。


サーシャの存在が浮いているわけではなく、事実、宙に浮いたまま進んでいる。隣で同じように、くちばしマスクをして浮いているルテにサーシャは問いかける。


「ルテさん、これはどういう原理ですか?なぜ私は浮いたまま進行中で?鳥になった?」

「これはレオの風魔法よ」

「風魔法?」

「私とサーシャの周りには今、見えない風が舞っていて浮かされている状態なの」

「へぇ」


サーシャがルテとサーシャの周りに舞っているという風に触れようと手を出すと、ルテに手を掴まれた。


「サーシャむやみに風の壁に触っちゃダメよ。手が斬り落とされちゃう」

「え、怖すぎるんですけど、風の壁ってそんなに狂暴なんですか?」


顔を青くしたサーシャは手がくっついていることを確認して、胸もとにさっと手を戻した。


「風は目に見えないけど、外から私たちに攻撃があれば風が全て叩き落とす。そういう守りの壁よ」

「風って強いんですね……」


風魔法なんて可愛い名前だが、その正体はすべてをなぎ倒す嵐のごとき存在だった。


「風はレオが使うと狂暴になるの」
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