キス、KISS、キス!─異端者と呼ばれた追放死刑の村娘、2つの顔を持つ俺様陛下の溺愛キスで幸せお腹いっぱいです!
親衛隊と投げキッス
サーシャが黒ローブ騎士団と共に王都に入って一週間が経った。
サーシャは騎士団の寄宿舎に身を置かせてもらうことになり、なんとルテと同じ部屋で暮らす許可を得た。ルテが暮らすのに不自由がないように整えてくれてサーシャは安全な居場所を得ることができたのだ。
死刑のサーシャがレオナルドに救われたのは本当に幸運だった。
暮らしの基盤が整ったサーシャとルテは王都の端っこを歩いていた。ルテに王都を案内してもらっている。
「今まで私のローブを貸していたけれど、サーシャ用のローブを発注しておいたわ」
「ルテさん、何から何までありがとうございます」
「いいのよ。森で救われたのはむしろ私たちの方なんだから」
王都と、死の森の境目近くを歩きながら、微笑んだルテがカルラ国についてサーシャに教えてくれる。
「王都内でくちばしマスクをつけなくていい状態にするために、盾魔法が使われているのよ」
「盾魔法は、団長の魔法ですね」
「そうよ。盾魔法は、病んだ空気から毒気を除去して正常に戻すの。盾魔法があるおかげで、まだなんとかこの国は息ができているってこと」
へぇと素直に頷いて吸収していくサーシャに、ルテはこの国の現状を正しく示唆する。
「でももう盾魔法の使い手はこの国に1人しかいないの」
「え、ってことは、団長1人ですか?」