キス、KISS、キス!─異端者と呼ばれた追放死刑の村娘、2つの顔を持つ俺様陛下の溺愛キスで幸せお腹いっぱいです!
ルテが黒髪を靡かせて親衛隊の騒ぎを置き去りに背を向けたので、サーシャも後に続いた。ルテは王城の入口を素通りして、王城の石壁伝いに歩いて行く。
「ルテさんも、レオさんのお相手したことあるんですか?」
「ありえないわ。こう見えて私は一途だから」
「え、その話!くわしく!」
ルテが微笑みでその話題を流して、王城の壁に刻まれた文様を撫でながら王城の周りを歩き続ける。もう親衛隊の黄色い声は聞こえなくなっていた。
(あ、この文様ってローブとかくちばしマスクについてるのと同じだ)
ルテの白い手が壁の文様を撫でる手つきはとても優しい。まるで、誰かを想いながら撫でているようだ。
「サーシャ、お食事キッスでレオに惚れちゃダメよ。レオは誰にも本気にならないわ」