心優しい国王は王妃を堂々と愛したい
しかし、
事はそう簡単には一件落着とならない。
アスフォデルスの蜜酒の全面輸入禁止措置に
難癖をつけたヘリヤ女王が
軍を率いて攻めてきたのだ。
その流れがあまりにもスムーズなので
おそらく女王は最初からこうなることを分かっていて、
静かに時が来るのを待っていたのだろう。

だが、
やすやすと引き下がるわけにはいかない。
病み上がりの者も多く、
まだ本調子とはいかない兵士が多かったが
アスラウグへの戦意は一様に高く、
ビフレストの国境を守り抜いていた。
両軍とも戦力が拮抗し、
膠着状態が続いたまま消耗戦へと突入していた。
「何か戦況を変える一手は無いだろうか。」
オーディンは軍の幹部たちを交えた会議で
必死に策を練っていた。
がしかし、
そんなに都合よく名案は出てこない。

無駄な犠牲を減らすためにも、
一刻も早く戦を終わらせなければ。
そんな焦りがオーディンの心に募っていく。
結局有効な方策を思いつくことなく数日が過ぎた頃、
とある訪問客により
事態は大きく動き出すことになるのである。
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