心優しい国王は王妃を堂々と愛したい
ヴィーザルの手回しにより、
オーディンとその一行はビフレスト本陣を急襲した。
鬼神の如き素早さで防衛網を突破すると、
ヘリヤ女王がいるであろう本陣が姿を現す。
オーディンは何も躊躇することなく、
本陣に突入した。

「おやおや、待っていたよ。
随分と舐めたマネしてくれたわね。」
ヘリヤ女王が美しい顔を歪め、
怒気を含んだ声で凄む。
「女王陛下、仏の顔も三度までという諺をご存知ですか。
さすがの私も堪忍袋の緒が切れましたよ。
その身をもって償ってもらわなければ、
我が国の怒りは収まらない。」
「アスラウグの怒りですって?そんなもの知らないね。
オーズ、殺りなさい。」
ヘリヤ女王の命令で将軍オーズが
オーディンと相対する。
2人の剣は拮抗しており両者の睨み合いが続いた。

「オーズ、いつまでグタグタしてるの。」
ヘリヤ女王が声を荒げ始める。
オーズが焦りの表情を浮かべる。
僅かだが次第にオーディンに押されてきているのだ。
「早くビフレスト王の喉元を搔き切っておしまい!
万が一負けるようなことがあれば・・・あぁぅ゙」
ドサッと音がして、
ヘリヤ女王が膝から崩れ落ちた。
彼女の心臓は息子の長剣に刺し貫かれていた。
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