心優しい国王は王妃を堂々と愛したい
呼吸のリズムが整ってくると、
フレイアは次第に落ち着きを取り戻した。
しかしその頬には静かに涙が伝っている。

「すまない。私の想像力が足りなかった。あなたにこんな思いをさせたくはなかった。」
オーディンはフレイアに力なく謝る。
オーディンは自分が国民に非常に人気があることを自覚していたので、
自分が隣にいれば国民たちもそこまで露骨なことはしないだろうと
高を括っていたのだ。
そんな自分の過信が今では恥ずかしい。
「いえ、国王陛下が謝ることではありません。国民の正直な気持ちを私は受け止めなければならないのだと思います。」
フレイアの静かな返答に、オーディンは返す言葉がなかった。

「王妃様はしばらくお休みになった方がよろしいかと。」
いつの間に部屋にいたのか、
ヴァールが2人の目の前に立っていた。
明らかに侍女とは違う出立の女性の登場に、
フレイアがわずかながら動揺する。
ヴァールのことは時期を見てフレイアに紹介するつもりだったが、
こうなってしまっては仕方がない。
「王妃、この人は・・・」
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