心優しい国王は王妃を堂々と愛したい
ギムレー宮は古ぼけた外観とは裏腹に、
中は小ぎれいに片付けられていた。
設備も新しいものに取り換えられていて、
住むのに不便さは無さそうだ。
衣装ダンスの中には、流行最先端というわけではなさそうだが
シンプルで落ち着いたドレスが数着かけられていた。

(アスラウグにいた頃よりも随分と快適だわ。)
ベットに倒れこんだフレイアは心の中で呟いた。
アスラウグにいたころはずっと乳母と二人きりだった。
もともとは乳母ではなく、
病に侵されていた母の侍医として雇われた女性で
娘の世話をする精神状態ではなかった母の代わりに
なし崩し的にフレイアの面倒を見てくれていたのだった。
それでも乳母はフレイアを一生懸命可愛がってくれたと思う。
母の治療に使う薬草やハーブを一緒に育てながら、
色んな事を教えてくれた。
乳母は今も元気にしているだろうか。
フレイアの輿入れと同時に城を出て、
娘夫婦の元に隠居すると言っていた。
どうか心安らかに余生を過ごしてほしい。

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