心優しい国王は王妃を堂々と愛したい
(お母様の分まで一生懸命生きるね。)
亡くなった母の若かりし頃の写真をそっとベットサイドに飾った。

フレイアの母は王族や貴族の生まれではない。
アスラウグ最高峰の王立バレエ団で
プリマバレリーナとして活躍していた
一級の踊り子だった。
王家が鑑賞したバレエ公演後のアフターパーティーで、
父と知り合う機会があり、
無理矢理に関係を迫られたらしい。

父は女王ヘリヤの夫ではあったが、
政治に関わることは許されておらず、
日頃から高圧的な妻の態度に
相当な鬱憤が溜まっていた。
その鬱憤のはけ口として
見た目が好みの母に手を出したというわけだ。
父にとっては火遊びに過ぎなかったが、
その一回の火遊びで母はフレイアを妊娠。
バレリーナとしてのキャリアを
諦めざるを得なくなってしまった。
そして当然、妊娠を隠し通すことはできず、
王配とプリマバレリーナの逢瀬は
女王の知るところとなる。
プライドの高いヘリヤ女王は烈火のごとく怒り、
母を追い詰めて死へと追いやったのである。
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