心優しい国王は王妃を堂々と愛したい
(私は処刑台へと続く道を歩いているのかしら・・・)

花嫁であるフレイアは
氷のように冷たい視線をその華奢な背中に浴び、
震える足を懸命に前に動かしていた。

何世代にもわたり争いを続けていた
ビフレスト王国に嫁ぐことが分かったときから、
けっして祝福に包まれた結婚ではないのだと覚悟していた。
この式場に招待された者の中に、
アスラウグ王国によって大切なものの命を奪われた人が
何人いるのだろう。

アスラウグ王国女王ヘリヤは
この政略結婚に実の娘たちを差し出すことはせず、
夫の不義の子であるフレイアを選んだことからも、
この結婚が人質の意味合いを持ち、
両国の関係によって
自分の立場が非常に危うくなることが想像できる。
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