心優しい国王は王妃を堂々と愛したい
オーディンの予想通り、
フレイアの欠席を知った招待客たちは非難の嵐だった。

「主役が欠席するとはどういうことか。」
「こちらは金も時間もかけて今日のために準備したのに、王妃は我々を軽んじているのか。」
「アスラウグの人間は何様のつもりか。」

オーディンは招待客の1人1人に詫びの言葉を入れてなだめる。
そのオーディンの隣には当然のごとくヴァールが寄り添っていた。
「こうして見ると、陛下とヴァール様が国王と王妃のようですなぁ。」
「ヴァール様は宰相殿のご令嬢で家柄も容姿も申し分なし。国民の多くがヴァール様が王妃になってほしいと思っていますよ。」
「まぁ、そんな。私などが王妃だなんて、畏れ多いことですわ。」
ヴァールは謙遜のそぶりを見せてはいるが、満更でもないという様子だ。
物心ついたころから将来は王妃になると思って育ったのだから当然だろう。

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