心優しい国王は王妃を堂々と愛したい

あらしの夜に

近隣諸国への外遊もひと段落し、
オーディンは城で過ごすことが多くなった。
城を不在にしていた間に溜まりにたまった事務仕事もひと段落し、
少し自分の時間を持つ余裕も出てきた。

一日中執務室に缶詰め状態では全身筋肉痛になってしまうと思い、
運動がてら城内を散歩することにした。
あてもなくのんびりと歩いていると、
普段はめったに行くことの無い城の外れまでやって来た。

「そういえば、王妃は元気に過ごしているだろうか?」
長期間城を不在にしていたこと、
帰国後は事務処理に忙殺さえれていたこともあって、
フレイアのことを全く気にかける暇がなかった。
(そういえばここに、ギムレー宮へ行ける入り口があったはずだ・・・)
フレイアがやって来る前に
ギムレー宮に住んでいた最後の住人は、
オーディンの祖母にあたる王太后だった。
オーディンは小さい頃、
授業を抜け出して祖母のもとに遊びに行っていた。
その時に使っていた抜け道があったことを
思い出したのだった。

「あった、あった。懐かしいな。」
お目当てのものを見つけてオーディンは目を細める。
その昔、城に仕えてくれていた庭師が
城とギムレー宮を行き来する時間を短縮するために
塀の上のフェンスを一部改良して外せるようにしたことを
オーディンにこっそりと教えてくれたのだった。
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