心優しい国王は王妃を堂々と愛したい
髪は結わえることはせず、
ふわふわとした柔らかそうな金髪が
腰まで伸びている。
ほとんど化粧はしておらず、
レモンイエローの簡素なドレスを着ていたが、
派手に着飾らないことで
フレイアの素の美しさが逆に引き立っていた。

オーディンの周りにいる女性というと
その筆頭がヴァールだが、
彼女はいつでも化粧ばっちりで、
上質な素材で作られた一級品のドレスを着ていた。
高価なドレスや宝飾品を買い漁って
財政を圧迫することはしていないので
特にオーディンが
何か苦言を呈するわけではなかったのだが、
いつ何時も手を抜くことは無い完璧主義の彼女に
息苦しさを感じることがあった。

フレイアは竹で編まれた籠を小脇に抱えて、
真っすぐと森の中に入っていく。
(彼女は何をしているんだ?)
興味を引かれたオーディンは
フレイアに気づかれないように
こっそりと後をついて行った。

フレイアは森の中にずんずん入っていくと、
森を流れる小川の近くで何やら草を積み始めた。
春の薬草としてもメジャーなイラクサだろう。
その他にも木の実などを収穫している。
< 31 / 121 >

この作品をシェア

pagetop