心優しい国王は王妃を堂々と愛したい

しばらくすると少し疲れたのか
小川のほとりに腰を下ろして、
持っていたコップで小川の水を汲み、
ごくごくと飲み始めた。

一国の王女だったとは思えない
農村の少女のような姿に
オーディンは新鮮さを覚える。
するとフレイアの傍に2匹の鹿がやって来た。

（危ないっ！）
鹿＝害獣というイメージしかないオーディンは
焦って飛び出そうとしたが、
フレイアは近づいてくる鹿に全く動じる様子はなく、
むしろ優しく微笑むと鹿の頬を優しく撫で始めた。
自分が先ほど収穫した木の実を分け与える様子から、
日頃から触れ合っていたことが伺える。

鹿たちは小川の水を飲み終えると、
フレイアを残して森の奥へと姿を消していった。
フレイアはその姿が見えなくなるまで見送り、
ギムレー宮へと戻って行った。

オーディンは後を追いかけようかとも思ったが、
あまりに帰りが遅くなると残りの執務が滞るので
フレイアとの再会はまたの機会にすることにして
自身は城へと引き返した。