心優しい国王は王妃を堂々と愛したい
オーディンがフレイアへの再訪問を決行したのは
それから4日後のことだった。
普段はなんだかんだんで夜中まで仕事していることが多いオーディンだが、
この日は夕方までで予定が全て片付いたのだ。

こんな日はヴァールから一緒に夕食でもと誘われるのだが
運良く声をかけられることもなく、
オーディンは一人きりの自由を手に入れた。
「今日はゆっくりしたいから軽食を自室へ持ってきてほしい」と
給仕係に伝える。
さっと食事を済ませて、シャワーを浴びると
誰にも見つからないように例の抜け道を目指した。

「ついてないなぁ。雨が降ってきた。」
抜け道の前までやって来た時には、
雨あしがかなり強くなってきてしまった。
でも今日を逃したらまとまった時間が取れる日はいつになるか分からない。
オーディンは計画を決行することにした。

この前と同様にフェンスを開けてよじ登る。
ギムレー宮側に着地しようとフェンスに手をかけたその時。
経年劣化で脆くなっていた塀がオーディンの体重の重みで
崩れてしまった。
慌ててフェンスを掴み直そうとするが
生憎の雨で滑りやすくなっており、
オーディンは不安定な体制のまま落下してしまった。
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