心優しい国王は王妃を堂々と愛したい
オーディンの足首は数日もするとすっかり腫れがおさまり、
元通りに歩けるようになった。

あの一夜はフレイアとの間にあった誤解を解くことが出来て
とても有意義なものだったが、
唯一誤算だったのが自分が怪我したことによって、
ギムレー宮を訪れたことをみんなに知られたことだった。

当然、宰相をはじめとする貴族たちはいい顔をしない。
入り口を警備していた兵士は国王の訪れは無かったと証言したので、
じゃあ一体どうやってギムレー宮に入ったのかと詰問された。
最初はのらりくらりと誤魔化していたオーディンだったが、
彼らの追及を逃れることはできず、
観念してことの詳細を語った。

その結果、
庭師とオーディンの秘密だった抜け道は
衆目の知るところなる。
長年修繕されずに老朽化していたこともあって、
フェンス部分は撤去され、
真新しいコンクリートの塀が
ギムレー宮を覆うこととなったのだった。

こっそり忍び込むことは出来なくなったが、
逆に正面入り口から堂々と訪ねられるようになったので
結果オーライてある。
普段は気弱なオーディンも、
「王が王妃に会いに行くことになんの問題があるのだ。」と、貴族たちの口を塞いだのだった。
< 47 / 121 >

この作品をシェア

pagetop