心優しい国王は王妃を堂々と愛したい
大義のない戦いを辞めない国王から
次第に人民の心は離れてしまった。

「このままでは国が崩壊してしまう。」
そう考えた重臣たちは、
王太子オーディンに王位を移すべく、
クーデターを画策した。

父に刃を向けるなどありえないと
なんとか話し合いで決着をつけようと試みた
オーディンの願いは届かず、
ついにクーデターは決行。
フェンリルは王位剥奪のうえ、
国家反逆罪で処刑された。
ギロチンにかけられる寸前の
憑き物が落ちたかのような穏やかな父の顔を
オーディンはいまだに忘れることができなかった。

父を終わることなき戦争に駆り立てた悪魔を
自分が断ち切らなければならない。
「戦争を終わらせること」、
それがオーディンの悲願であった。
悲願達成のためには
ヘリヤ女王との和平は避けては通れない。
そのためにオーディンは周辺国と
あの手この手を使って同盟を結び、
アスラウグ王国への包囲網を完成させた。
そしてようやく、
アスラウグ王国との和平を成立させたのだった。
< 5 / 121 >

この作品をシェア

pagetop