心優しい国王は王妃を堂々と愛したい
ヘリヤ女王との会談は思っていたよりも和やかに進んだ。
こちらとしては無理難題を吹っ掛けられるのではと
危惧していたが、女王からはいたって常識的な提案がなされた。
女性ながらに大国を率いているだけあって、
外交の手腕も確かなものだった。

数時間に及んだ会談で取り決められたことは、
・封鎖状態にあった国境を開放し、国家間の交流を促進すること
・豊かな海を持ち漁業が盛んなビフレストの海産物をアスラウグにも流通させる
・農業大国でもあるアスラウグからは農産物や果物をビフレストに輸出する
・領事館を設置して大使を駐在させる
といったことである。
ビフレスト王国は国土が全体的に痩せており、
農産物は豊富に採れるわけではないので、
アスラウグから輸入することが出来れば国民の食糧事情も改善できるはずだ。
一方で漁獲量は国内消費量を上回っているから、
決して悪くない取引である。

残る行事は国王夫妻主催の晩餐会である。
オーディンは予期せぬ邪魔が入らぬように、
自らフレイアをギムレー宮まで迎えに行った。
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