心優しい国王は王妃を堂々と愛したい
(ちょっと過保護すぎるかな。)
オーディンは心の中で苦笑いする。

でも用心を重ねるに越したことはないだろう。
自分のいない隙を見計らってヴァールやそのほかの誰かがやって来て、
フレイアに心無い言葉を浴びせるかもしれない。
城で働く者たちはフレイアに必ずしも好意的ではないし、
その点で言うと近衛兵が安心だ。
彼らは国王に絶対の忠誠を誓っており、国王以外の誰の指図も受けることは無い。

そんなオーディンの心遣いのおかげか、
フレイアは非常にリラックスした気持ちで
ドレスアップすることができた。
着付けやヘアメイク担当の侍女は終始無口で、
フレイアも余計な気遣いをする必要がなかった。
身支度が整った後は、時間になるまでソファ横に置かれていた小説を
何気なく呼んで時間を潰していた。

どれぐらい時間が経っただろうか。
空が薄暗くなり始めたころ、オーディンが迎えにやって来た。
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