心優しい国王は王妃を堂々と愛したい
その後、フレイアはオーディンと一緒に
晩餐会の開かれる大広間へと移動する。
長テーブルがずらっと並び豪華に飾り付けられていた。
この日に向けて、
テーブルマナーや社交の作法は
オーディンとたくさん復習した。
きっと大丈夫だ。

アスラウグの一団を歓迎するために
入り口付近で待機する。
てっきり2人で歓迎するのかと思っていたら、
同じく正装に身を包んだヴァールがやって来た。
ヴァールはフレイアの頭上のティアラを一瞥したが、
特に何も声をかけることなく目の前を通り過ぎ、
フレイアとは反対側のオーディンの隣に立った。

フレイアのドレスはわずかにラメの入ったロイヤルブルーのドレスだったが、
ヴァールは対照的に燃えるような深紅のドレスだ。
ドレスに合わせてルビーのティアラをつけている。
自分と同じように、
オーディンはヴァールにもドレスや宝飾品を見繕ったのだろうか。
そう思うとフレイアの胸はチクッと傷んだ。
ヴァールはフレイアのことは無視したが、
オーディンには積極的に話しかける。
フレイアには良く分からない政治の話で盛り上がっているので、
フレイアは全く会話に入れず
置物のようになってしまっていた。
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