心優しい国王は王妃を堂々と愛したい
(王太子殿下はヴァール様を見初められたのだわ。)
恋愛に疎いフレイアでもさすがに理解した。
確かに今日のヴァールは輝いている。
ドレスや宝飾品だけの力ではなく、
ヴァールの持つ自信が
それを際立たせるのだろう。
あのヘリヤ女王に臆することなく、
笑顔で会話を楽しんている姿は、
王妃そのものだった。

対して自分はと言うと、
身なりこそ王族に相応しいが
半分血の繋がった兄と少し会話するのが関の山。
全く王妃としての役目を果たせていない。
あまりのレベルの差に自嘲してしまう。
晩餐会が終わった後に、
「初めての場なのに、そつなくこなして上出来だよ。」
とオーディンは言ってくれたが
惨めな自分への憐れみにしか聞こえなかった。
< 58 / 121 >

この作品をシェア

pagetop