心優しい国王は王妃を堂々と愛したい
「アスラウグにされたことを忘れることも、赦すこともできない。けれど憎しみを抱いているのはお互い様だ。過去に囚われるのではなく、未来を見据えて行こう。」

国民の理解を得るために、
オーディンは国中を回って説得した。
国王直々のお願いに
国民たちは一応は納得したものの、
歓迎という空気にはならなかった。
それはオーディンのお膝元の王城内も一緒で、、、

王妃を迎える準備をと
オーディンが提案するやいなや
「国の中枢たる城に
アスラウグの女が住み着くなど許さん!」
という反対の声が多数挙がり、
臣下たちの圧力にすっかり萎縮してしまったオーディンは、
妥協案として城の外れにあるギムレー宮を王妃の住まいとすることにした。

そこはかつて王太后など隠居した王族が使っていた場所だが
長い間主人が居なかったため、
今は荒れ果ててしまっている。
そのままの状態で住まわせるのはあまりにも不憫だったので、
オーディンは個人資産から改修費を出し、
職人を手配した。
通常の値段では手を挙げてくれる職人がおらず、
2倍の金額を出さざるをえなかった。
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