心優しい国王は王妃を堂々と愛したい
なんとか最後の章に辿り着くと、
自分の直感が間違っていなかったことを
証明するような記述を発見した。

『アスフォデルスの蜜は糖度が非常に高く、常飲は推奨されない。
人体への負担を軽減するため、蜜酒の製造においては原液を使うことは禁止され、
希釈されたものが使用されている。
アスフォデルスの蜜を大量に摂取すると身体機能に影響を及ぼすことが確認されている。』
(これだわ!)
安価なアスフォデルスの蜜酒が濃い色をしているのは、
希釈されていないからだろう。
それを常飲していたから、
国民たちに体調不良が続出したのだ。
もしかしたら高価格帯のものでさえ、
アスラウグで流通しているものと比べたら
希釈が十分でないのかもしれない。
であれば、
貴族たちも体調不良を訴えるようになるのは
時間の問題だ。

「何か有効な手段はないの・・・?」
何か手がかりはないかと
もう一度辞典に目を落とす。
するとページの隅の余白に
うっすらとした筆跡で一言、
『モーリュ』
と書いてあるのが読み取れた。
フレイアはすぐさま索引を確認し、
モーリュのページへ飛ぶ。
モーリュとはどうやら薬草の一種の様だ。
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