心優しい国王は王妃を堂々と愛したい

ヘリヤ女王

同じ頃、
アスラウグ王国の城の一角では
ヘリヤ女王がワイングラスを手に持って
ご満悦だった。
グラスの中身はもちろんアスフォデルスの蜜酒。
ビフレストに流通させている粗悪品と違って、
完璧な製造方法で作られた一級品だ。
1日の終りに一杯飲むのが女王の日課だった。

「ビフレストの内部崩壊も時間の問題ね。攻め時を見定めなくちゃ。機が熟すのはもうすぐかしらねぇ。」
間者から上がってきた報告は、
ヘリヤ女王の気持ちを大いに高揚させた。
25年前は後もう少しのところでフェンリルに邪魔されたが
今回はそうさせない。
必ずやビフレストを手中に収めて、
私が大陸一の覇者になるのだ。

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