心優しい国王は王妃を堂々と愛したい
ヘリヤ女王は子どもの頃から
何でも自分が1番でないと気が済まない性格だった。

長い間子どもに恵まれなかった
国王夫妻の一粒種として生まれ、
蝶よ花よとそれはそれは大切に育てられた。
大陸一の美姫と謳われた美貌と相まって、
彼女のわがままは何でも許されてきた。
1人娘だからと甘やかし続けた国王夫妻の猫可愛がりが
ヘリヤ王女の悪い部分を増長させてしまったのだ。

わがまま放題で幸せ絶頂だった
ヘリヤ王女の人生に陰りが見え始めたのが
社交界デビューしてからのこと。

自分の美貌に自信満々だったヘリヤ王女は
社交界でも当然、自分は注目の的になると思っていた。
だが、実際はそうではなかった。
最初こそ皆恭しく挨拶をしてくるのだが、
ダンスの申込みは一切ない。
外国からの賓客があった場合、
外交の一部として踊ることはあっても
純粋に男性から誘われることが無いのだ。

自分が王女だから
遠慮して誘えないのかと思って、
めぼしい貴公子に声を掛けてみる。
するとダンスには応じてもらえるのだが、
曲が終わるとそそくさと退場してしまう。
そんなことばかりが続いて
ヘリヤ王女のプライドはズタズタになっていった。
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