心優しい国王は王妃を堂々と愛したい
「まじでありそうで怖いわ。」
「冷静に考えて、俺は絶対無理だよ。あんな我儘女の尻に一生敷かれるなんて人生終わり。」
「ちょ、お前言い過ぎだって。事実だけどさー。」

それからどうやって帰ったのか記憶にないが、
自室のベッドに突っ伏して
ヘリヤ王女は夜通し泣いた。
悔しさと恥ずかしさで消えてしまいたかった。
貴公子たちから避けらていたことに気づかなかったなんて、
なんて自分は鈍感だったんだろう。

男たちの本音を知ったからと言って、
彼らが好みそうなしおらしい女の子のフリをするのは
自分のプライドが許さなかった。
私は未来の女王として、
誰よりも気高い存在でいなければならないのだ。
いずれ自分の臣下になる者たちに
下手に出る必要はない。

この日、
ヘリヤ王女は恋に恋する少女の気持ちを捨てる決意をした。
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