心優しい国王は王妃を堂々と愛したい

ヘリヤ女王が国外侵略に躍起になっている裏で、
女王一家の関係は崩壊していた。

ジグムントはあの事件の後、
2度と浮気ができないように
強制的に手術を施された。
それ以降、
何事にも無関心の廃人のようになり、
自室からほとんど出てこなくなってしまった。

両親から放置されてしまった
3人の子どもたちはどうなったのだろうか。

第一王女ウルズは
優しかった両親の記憶が残っている分、
一番反発した。
思春期を迎えるとガラの悪い集団と関わるようになり、
飲酒やドラッグ、喫煙を繰り返し、
終には身体をすっかり壊してしまった。
もう手に負えないと判断した女王の命令で
郊外の女子修道院に入れられ、
現在はリハビリを兼ねて
神に奉仕する生活を送っている。

第二王女のヴェルザンディは
元来大人しい性格で
ウルズのように強烈な反抗期はなかった。
女王としてはコントロールしやすく、
ある意味でお気に入りだった。
ビフレストに対峙するため、
ビフレストとは反対側の隣国に
政略結婚として嫁がせている。

そして王太子ヴィーザル。
ヴィーザルが生まれてすぐに王位を継いだので
上の二人と異なり、
育児は全て乳母に任せきりだった。
そのため2人の間に親子の情は皆無で
さながら上司と部下のような間柄だった。