心優しい国王は王妃を堂々と愛したい

裁かれる王妃

一般市民に猛威を振るっていた病魔が、
ついに貴族たちにも広がり始めた。
1人、また1人と体調を崩していく状況に
誰もが恐怖を感じていた。
そしてその魔の手は、
ついに王宮の中枢に届いたのである。

「大変だ。ヴァール様が倒れたぞ!」
ある朝、
静かな王宮に響き渡ったその声に
瞬く間に城が騒がしくなる。
すぐさま医師が呼ばれ、
診察が始まった。
しかし国内最高峰の医療を持ってしても
原因が分からないので、
医者もどうすることもできない。
症状に合わせた対処療法が精一杯だった。

愛娘が倒れたとあって、
宰相ヴォルヴァも冷静さを失っていった。
医者が役に立たないと見ると
誰彼構わず捕まえて
「娘を助けてくれ!」と喚き散らした。
挙句の果てには
"魔女を見つけ出した者に金一封を与える"
とお触れを出したものだから
さらなる魔女狩り旋風が吹き荒れたのだった。
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