心優しい国王は王妃を堂々と愛したい
あっという間に
フレイアとトゥーラは連行され、
城の地下牢に収監された。
トゥーラだけは解放してほしいと
フレイアは懇願したが
"魔女の手助けをした"疑いがあるとのことで
聞き入れられなかった。

それから1週間後。
1日に2度支給される
粗末なパンをかじりながら
フレイアは声を押し殺して泣いていた。
何もできない自分の無力さと、
巻き込んでしまったトゥーラへの申し訳無さで
心が押し潰されそうだ。
苦労して作った薬は破棄されてしまったのだろうか。
あの薬でどれだけの命が救えただろうか。
どうにかしてトゥーラだけでも解放してもらえないか。
暗い部屋の中で、
そんな考えが堂々巡りしていた。

今が昼なのか、夜なのかもよく分からず
ただただ時間を持て余していると
周囲がにわかに騒がしくなる。
「私がいない間によくもこんな勝手なことを!」
「しかし、陛下。あの女がコソコソと毒薬を作っていた動かぬ証拠があるのですぞ!」
「王妃がそんなことをするわけがないだろ!フレイアの無実が証明されれば王室侮辱罪に処すからな。」
2人の男性が言い争いをしていて、
次第にその声は大きくなってくる。
その声の主たちはフレイアの牢の前で
ピタリと止まった。
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