私のこと愛しすぎだよ、結多くん。
「てかさあ、今日のアレもうざくない?マジ調子乗るなっつーの」
「せっかくの自習、サボれたってのに。ほんと空気読めないよねー」
いやな場面に遭遇しちゃったな…。
図書委員の仕事は好きだし、とくに放課後はもっと好き。
委員会活動が終わって、ひとりでスクールバッグを取りに放課後の教室に向かうことも好き。
なのだけど、教室内に残っていたらしい女の子たちの会話に、戸惑うドアの前。
「あたしなんか昨日、スカート丈が校則違反とかなんとかで、わざわざ注意しに来られたんだけど」
「うわっ、やばっ。つーかあいつ、男子を前にすると甘いよね」
「それな?きしょいわ、ほんと。ブスのくせに」
まだ1学期なのに…。
私だって女の子全員とちゃんと話したことがないから、ひとりひとりがどんな子かなんて分からない。
でも、でも。
この会話だけはしちゃいけないものだ。
彼女たちが言っているのはたぶん、学級委員長である荒井(あらい)さんのこと。