私のこと愛しすぎだよ、結多くん。




『あのねこのみちゃん、俺すげえやらかしたことに夏休み突入してから気づいちゃってさ』


「やらかした…?」


『うん。隣の席の安心感に身を任せすぎてた、もはや責任を放棄してた』


「せ、せきにん…?」


『あんね、このみちゃん』



このみちゃんのメアド、聞けてなかったんですよ───、


こっそりと。

受話器越しに耳打ちをされた感じで伝えてきた。


そう、うちの学校は過去にクラスのグループチャットを使ったいじめが起きてしまったことがあるらしく、校則として禁止されていた。


ので、個人間の繋がりのみとなる。



『メッセージアプリにも普通の連絡先にもこのみちゃんの名前が一切記載されてないって、俺のスマホだいぶポンコツ村のたぬきさん事件だよ』


「す、スマートフォンは悪くないよ。私も……聞けなかったから」


『…………』



一切の音、なくなる。

広がる沈黙、生まれる虚無。



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