私のこと愛しすぎだよ、結多くん。
『ねえ、このみちゃん』
「うん…?」
『どーしてそんなに泣きそうな声してるの』
受話器を持つ手が震えた。
夏休みはイベント盛りだくさんで。
私と違って結多くんはいろんな女の子からお誘いがあることは少しだけ知っていた。
終業式の日、そこですでに夏祭りとかプールとか、誘われてたから。
『そんな声してたら電話切れなくなるじゃん。もちろん俺からすれば嬉しいんだけど、トイレとかどーする?いよいよ持ってく??
お風呂にまで持っていったらそーいうプレイですねこちらって余裕で期待するぜ俺は』
結多くんはいつもそう。
いつも、私のことを見ている。
でもそれは隣の席だからとか、実際に目にしているからとか、そう思っていたのに。
まさか声だけで勘づかれてしまうとは、さすがの結多くん。