私のこと愛しすぎだよ、結多くん。
「失礼。お嬢さん、わしも座ってよろしいか」
「あっ…、ごめんなさい…」
込み上げていた涙を強引にも押し込めて、隣スペースをもう少し空けるためにも端に寄る。
もう1コのほうのベンチも空いてるんだけどな…。
でもおじいさんだから、私が退いてあげればいいんだよね。
「待ちなさい。せめてわしにそれを譲ってくれんか」
「……え…」
「うまそうじゃ。ぶっちゃけわしはずっとそれを食いたかったんじゃ」
うつむいていた顔を上げるまでもなく、どうしてここまで気づかなかったんだって自分に驚いた。
ふわりと鼻に届いた匂いや、ピッタリくっついた肩もそうだけれど、やっぱりとてつもない安心があって。
今日もずっと隣に座ってくれてたな…って、思い出すとまた溢れそうになる。
「こーのみちゃん」
「っ…、…ゆい、た…くん」
わざわざ戻って来てくれたの…?
いや、もう結多くんにこの質問は愚問な気がしてきた。