私のこと愛しすぎだよ、結多くん。
この時間を作るためなら、なんだってするような人が彼なのだと。
「そのお弁当、このみちゃんの手作り?」
「……ちが、う」
「…そっか。どちらにしろ美味そう、すげえうまそう」
こんな嘘ついたってもう、仕方ないのにね。
顔は上げられないし、「うまそう」って、たったのその一言にやられそうになるなんて情けない。
ぽたっ、ぽたっ。
どうしたってお弁当に垂れてしまうから、心のなかで「雨だよ」って誤魔化す。
「…これ、食べていい?からあげが嫌いな結多なんか居ないじゃん」
「……だめ」
「えー、食べたい」
「…だめ、」
「いーから食わせろ」
「っ!」
唐揚げを掴んだ箸を握っていた私の手ごと、強引に結多くんの唇へ持っていかれる。
びっくりするくらい言葉は強引で。
びっくりするくらい動きだって強引で。
もぐもぐと意地でも咀嚼して、そうしたらもっと目尻に溜まるものだから。