私のこと愛しすぎだよ、結多くん。




「うますぎ」



太陽というよりは、日差し。

カーテンの隙間からこぼれるような、夕暮れ前の日差し。

そんな微笑みで見つめられてしまえば。



「……あ……、」



ぷつんって、切れた2回目。
あのときもそうだった、美術室のとき。

あの日も我慢できなくて、大泣きをかましてしまって。


次から次へと頬に流れてゆく。


そこまでじゃないよ、そうじゃないの。
弁解したいのに嗚咽しか出なかった。



「あー…、だって女に絞め技かけるってのはやっぱコンプラ的にもアウトだもんなあ」



ファッションブランドなんか知らない。
そんな服も持ってない。

ラコスタがなんの略称なのかも、わからない。


私なんかシャツ素材の半袖チュニック、ロールアップさせた細めのデニム、スニーカー。

こういう服しか似合わないんだから仕方ないよ。



「いや、女だと思わなければセーフだったりする?問い質されても“ぼくにとってはゴリラです”とか言えばいけると思う?」



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