私のこと愛しすぎだよ、結多くん。
お弁当を作ろうってなって、キャラ弁が思い浮かぶことさえしなかった。
こんな普通のお弁当なんか作ってバカじゃないのって、そんなふうに思った自分も嫌で許せなくて。
だってこれでも、私にとっては一生懸命つくったものだから。
「この甘めの卵焼き、すげえ好き。これだけで生きていけるんですけども結多」
次から次に、私が作ったおかずたちが結多くんのお腹に吸い込まれていく。
うまい、うますぎる、これ独り占めできるとかマジ?
そんな言葉を挟みながら、モグモグと噛み締めてくれる。
「ほんっと…なんのための高校生版ラジオ体操してんだよ俺…、夏休み中も真面目に参加した結果スタンプしか増えてねえよ毎日毎日」
お弁当は完食、フルーツは一緒に食べた。
それから「ごちそうさまでした」と手を合わせてから、いまだにゴシゴシ目元を拭っている私の腕を優しく取った結多くん。