私のこと愛しすぎだよ、結多くん。
「…こすったらだめ。荒れちゃうよ」
「っ…、」
「帰ったらできれば風呂がいいかも。じゃなかったら、うーん、ホットタオルで目ぇあっためてね」
こすらない程度に、そっと親指の腹で残った涙を撫でてくれた。
「ごめん。俺のせいでこのみちゃんに今日ずっとしんどい思いさせた」
ちがう、ちがうよ。
ふるふると首を横に振って、せめても伝える。
女の子たちを追い払えなかったって思ってるんだろうけれど、結果として結多くんにはずっと救われてた。
「このみちゃん。やっぱ連絡先、交換するよ」
もう、延ばせそうにない。
今日結多くんとバイバイしたあと、家に帰ってどうしようって考えちゃったから。
「アプリと普通のメアド、両方おしえるね」
こくんとうなずいて、取り出したスマホを震える指で操作する。
そうしたらメッセージアプリのアイコンがブリッジしている結多くんという、謎写真。
涙が引っ込んだ。