私のこと愛しすぎだよ、結多くん。
「器用なんだねえ。これ、自分でやったの?」
「…うん」
「すげえ似合ってるよ」
そう、こんな言葉を。
器用なのはメイクをしてた女の子たちのほうだし、私のこれなんか誰にだってできる。
でも、私にだけ伝えられたもの。
男の子に褒められたのだって初めてだ。
褒めてくれる男の子だって、結多くんだけ。
それがこんなにも嬉しいだなんて。
「ゆ、ゆいたくん」
あ……、
すっごい優しいやつだ。
なあに、と、覗き込んでくる表情も声だって。
「結多くんは…、な、夏祭りとか、行くの…?」
「あー、夏祭りね。来週だっけ?」
「うん…」
クラスの女の子たちと行くのかな…。
私はあいにく穂乃花ちゃんとも約束していなくて、一応は予定ゼロ。
家から花火を見る夏になりそうだと、少しだけ落ち込んでいた。
「実はさー、その日ちょうど親戚の家に行ってんだよね俺」
「え…、そうなの…?」
「うん。なんかよく分かんない集まりだよ。親戚ってそーいうとこあるよなあ」