私のこと愛しすぎだよ、結多くん。
めんどくさそうに息を吐く結多くんには悪いけれど、私の心はホッとしていた。
「だとしてもこのみちゃんには電話かけようと思ってたよ安定で。どちらにせよ今日からはメッセージも送れるから最っ高」
そして、嬉しさまで与えられてしまう。
「…結多くん、」
「はあい」
「……夏休みが明けても…、また、お話、してくれる……?」
私ね、すごい貪欲で欲張りになっちゃってる。
太陽の光が自分にだけ当たればいい、なんて。
分け隔てない光を与える太陽さんはそういうものを嫌うって分かっているのに、蟻らしくないことを思っちゃってる。
だって、だって、あんなにも“蟻が好き”だなんて言ってくれたから、蟻は勘違いしちゃってるの。
「このみちゃん」
いまの音、呼び方、トータルで心臓がドキリと脈を打った。
見るな、見ちゃだめ、
見ないほうがいい───、
そう思うのに、ベンチから降りた結多くんが目の前、しゃがんで見上げてくるから。
「毎日笑顔にしてあげる。ぜったい泣かせねえし、きみが泣いたら俺は切腹する覚悟ってくらい」