私のこと愛しすぎだよ、結多くん。
結多くんの手はこんなにも男の子だったんだ…って、初めて知った。
そんなことされたら好きになっちゃう。
もっともっと、好きになってしまう。
「俺の特等席はこのみちゃんのために空けてるってより、このみちゃんしか俺のなかには入れない。
……まあ最終的にぶち込む側は俺のほうだったりするんですけど急に何言ってんだよ結多。とりあえず笑っておきますはっはっはっ」
ブラウン色の髪。
いつもは下ろされているけれど、今日はふんわり上げられておでこが覗く前髪は、隣クラスの女の子が飾らず「かっこいい」と言っていた。
くしゃっと笑うと糸のように細まる気さくな瞳。
無邪気な幼さも見えて、たまにすごく大人びた眼差しも作って、結多くんのポイントのひとつ。
私より10センチ以上は高い身長だって。
大丈夫、大丈夫だよって、いつも言ってくれてるみたい。
「獅子座のO型水篠 結多、ドラフト1位指名。すげーオススメだよ」
私の高校1年生の夏休みに起きた一大イベントとしては、今日という日だった。
それから毎日のようにメッセージが来て、声を聞くときは固定電話からスマホに変わったりして。
そして。
私は近いうち、この人と付き合っちゃうんじゃないかな…って、思ったり。