私のこと愛しすぎだよ、結多くん。
担任の先生に呼ばれた結多くん。
安定の結多くんではあるけれど、私への挨拶は抜かりない。
「うん、また明日ね」と私も同じように返して、小さく手を振った。
「なあティーチャー…、この世の中であれを控えめに言って天使って言わなかったらなんて言う?」
「いいから早めに運んでくれよ荷物」
私はすごく嬉しかった。
夏休みが明けても、席が離れてしまっても、変わらず接してくれる結多くんに。
今年の夏休みは今までと何かが違っていて、思い出すと意識が遠のいてしまうような、そんな夏休みだった。
「……伊藤(いとう)さん…か」
結多くんの新しい隣の席の女の子は、伊藤さん。
彼女もまた大人しいタイプだけれど、結多くんとは同じ中学校出身ということもあってか、お互いに慣れた空気感が出ていた。
……モヤモヤはだめ。
モヤモヤしないの、このみ。
でも───…。