私のこと愛しすぎだよ、結多くん。




『毎日笑顔にしてあげる。ぜったい泣かせねえし、きみが泣いたら俺は切腹する覚悟ってくらい』


『俺の特等席はこのみちゃんのために空けてるってより、このみちゃんしか俺のなかには入れない』


『獅子座のO型水篠 結多、ドラフト1位指名。すげーオススメだよ』



あれは、なんだったんだろう。


私がまた泣いちゃったから慰めてくれた…?

あの日、一緒に絵を描いたように。
今度は言葉を贈ってくれた…?


すごく優しい顔してたな…。
あたたかい目、してたな…。


思い出せば思い出すぶんだけ、トクントクンと自分のなかから聞こえてきた。



「前髪……、分けてみようかな」



だれもいない女子トイレ、鏡の前。


中学生時代から変わらないお下げ髪は長さが伸びた程度。

ちょんちょんと前髪をいじって、いつもと違うことをしてみたって。



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