私のこと愛しすぎだよ、結多くん。
「ねえ、そういえばマキも結多と同中だったっけ?」
「そーだよ?」
わっ、ひと…!
だれか来ちゃった……!
前髪をくしゃりと戻して、押しやられるみたく個室に入る。
「結多ってほんとに中学からあんな感じだったの?彼女とかいなかったの?」
出た、OLさんの更衣室。
聞きたいようで聞きたくない話題が繰り広げられそうで、個室のなか、私は息を殺した。
「あー……、結多さあ、ああ見えて暗黒時代を持ってるから」
「暗黒時代?えっ、なにそれ」
「すっごい可愛いアイドルな先輩と付き合ってたの、中2のとき」
「え!?まじで!?なぁーんだ、結多も結多らしいことしてんじゃん!」
罪悪感が、すごかった。
本人の知らないところで過去を暴露されて、それを私は聞いてしまっている。
結多くんからしたら、隠したいことなのかもしれない。
結多くんからしたら、思い出したくもない過去なのかもしれない。