私のこと愛しすぎだよ、結多くん。
どんな顔をしたらいいのか、個室のなかで迷っていた。
さすがは結多くん、という反応は間違っている気がして。
私と違う世界を生きる彼は、きらびやかなものだけに囲まれているわけじゃないこと。
太陽と雨は正反対なようで、とても近い位置にあること。
「てかてか、最低な振り方ってなに?」
「ふはっ、…“可愛いと思える要素がないです”」
「え?」
「って、本人の前で堂々と言っちゃったのよあいつ。ふふっ、あはははっ、やば、思い出しただけでもお腹いたいっ」
手を叩いてまでも大笑い。
ドア1枚挟んでいたとしても、女の子たちがどんな顔をしているかが見えた。
「きゃははっ!!まっじでー?それは最低!あたしだったら立ち直れないっ」
「でっしょー?その先輩からしたら公開処刑の恥さらしみたいなものじゃん?まあ……学校に来なくなったよね、その人」
「あーー……、自分に自信1000%だったならね、余計ね」
それから男子生徒からは最低だと言われ、女子生徒からはなぜか人気が出てしまって。
それがのちに、結多くんの暗黒時代と呼ばれるものなんだと。