私のこと愛しすぎだよ、結多くん。
ポケットのなか、取り出した1枚。
音を立てないようにゆっくり開いて、パワーをもらう。
そうじゃないって言い聞かせたかったのかもしれない。
彼はそんなつもりで私に目を向けてくれているんじゃないって、私自身に。
「ゆ、ゆいたくんは……」
ガチャ───、
個室の鍵を開けて、外へ出る。
鏡の前、ふたりして振り返ってきた。
「結多くんは……、そんな人じゃ…ないよ、」
今までずっと思ってた。
ここで話される結多くんのことに対して「ちがう」って、「それはダメ」って。
そんなこと言ってほしくないし、勝手なイメージを膨らませて納得なんかしないでほしい。
結多らしくない───、
彼は周りからそう言われることが、人よりも多い気がする。
「結多くんはいつだって自分の気持ちにまっすぐで…、すごく、かっこいい人、だよ」