私のこと愛しすぎだよ、結多くん。
“そんなことしなくていいんだよ朝比奈さん”と、まるで全員から言われたような。
私じゃない。
さっそく結多くんのことを考えて動いた人間は。
「ちょうど買いすぎちゃったなって思ってたの。だから……どうぞ」
彼の隣の席の伊藤さんだった。
購買の人気商品でもあるミックスサンドをぎこちなく差し出して、様子を伺っている。
「まじ??俺わりと借りって返さない主義だから貰えるモンは貰うぜふつーに」
「うん。私もいつものお礼…だから」
「あのー、たとえ身に覚えすらなかったとしても自分のことに変えてしまうのが結多だけど大丈夫?」
快くうなずく伊藤さん。
私といえば、視線を落としてお弁当の蓋をゆっくり開けた。
受け取るから結多くんなの。
「ありがと。スーパーヒーロー伊藤になれるよきみ」って、笑顔を返しちゃうのが結多くん。