私のこと愛しすぎだよ、結多くん。
先輩バイト生でもある谷さんに、今日はたくさん迷惑をかけてしまいそうで怖かった。
「上から目線に伝わったら申し訳ないし、そんなつもり全然ないんだけど。なんか朝比奈さんの失敗は……良い失敗ってか、必要な失敗だよ」
気分だけでなく首の角度までもが落ちていた私に、ちょうどお客さんが居ないこともあってか、谷さんが隣で口を開いた。
良い失敗……?必要な失敗……?
思わず顔を向けると、少しだけ伏せられた瞳で続けられる。
「俺、実はここ2個目のコンビニでさ。初めてバイトしたとこも違うコンビニだったんだけど……5日も続かなかったんだよね」
「そ、そうなんですか…?」
「タバコの銘柄すら覚えらんなくて。客からキレられて、それだけでこんなとこやめてやるって思ってすぐ辞めた」
ここのコンビニはタバコの販売はしていない。
その代わり、他のコンビニにはない特別商品のアイスやジャンクフードが売られている。
そういう意味では覚えることがたくさんだった。