私のこと愛しすぎだよ、結多くん。
「ゆ、結多くん…!あっ、いやっ、あのひとは彼氏とかではなくて…!」
「え?あの剣幕はそうだと思ったけど。まあとりあえず大丈夫そうだから帰るわ俺。おつかれーっす」
大きな傘を差してスタスタと帰っていった谷さん。
入り口の前、こんな時間になってまでも待ってくれている結多くん。
すごくすごく……胸がきゅうっと苦しくなって、嬉しくて、どうしてか泣きたくもなった。
「迎えにきたよ、このみちゃん」
こんな雨のなかでも輝いてしまう太陽。
少しだけ大人びた表情で、結多くんは骨格を引き上げた。
「相合傘のチャンスじゃね?って見逃さなかった俺ナイスでしょ」
「…結多くん……濡れてるよ」
「ちょっと走ってきた。さっき急に降ってきてさ、もしかしたら間に合わねえかもって思って」
ふわりと、雨の匂いに混じるシャンプーの匂い。
私服姿ということは、とっくにお風呂に入ったあとだということ。