私のこと愛しすぎだよ、結多くん。
ムッと、思わず尖った唇。
坂口くんの名前すら間違えまくりの結多くんに言われたくない。
と思いながら顔を向ければ、「うっわキスしてえ」なんて言葉が雨のなか返ってきたような…。
「そ、そんなの言ったら結多くんだって伊藤さんと……」
「…俺が伊藤と?」
いつも仲良さそうにしてるよね───、
言いそうになって止めて、「なんでもないよ」を被せる。
「だめ」
「え…?」
「言わなきゃだめです言ってください」
まるで責めるように、コツンっとわざとらしく肩をぶつけてきた。
「……言いたくない、です」
「言いなさいて」
「…言いません」
「言うんだこのみちゃん」
「言わないですこのみ」
「言えや」
「いやだ」
ぷくっと膨らんだ頬。
どちらからともなく立ち止まって、誰もいない街灯の下、私より高い位置にある結多くんの顔を見上げる。